破天荒な海外生活ブログ

ニュージーランド、オーストラリア、そしてカナダ。転々と放浪中

移民大国で生活しながら移民の歴史に思いを馳せる

今日は久しぶりの読書レビューです。

 

故国を忘れず新天地を拓く―移民から見る近代日本 (新潮選書)

故国を忘れず新天地を拓く―移民から見る近代日本 (新潮選書)

 

 

「移民」という観点から歴史が綴られており、現在海外で生活している自分にとっては非常に興味深い内容でした。私は一時的に滞在しているだけなので移民ではありませんが、移民の先人達が作り上げた基盤があるからこそ、私は今こうやって日本人として海外に暮らせているのだと強く感じずにはいられません。

 

今となってはあまり想像もできないことですが、日本が急増する人口を抱えきれずに国家戦略として移民を輩出していた時代。船で何日もかけて全く見たことも無い、言葉も通じない異国の地で、新たに生活を始めるというのは一体どんな気持ちだったのでしょうか。

 

その時代の移住先の1つとしてカナダ、特に西海岸のバンクーバーがあったわけですが、始めての日本人移民が降り立ったのは1877年、明治時代にまで遡ります。

 

しかし、移民が増えるにつれ生まれてくる差別意識、日本人街の襲撃、アジア人排斥同盟が結成されるなど、厳しい迫害があったことは事実。さらに、

 

日米開戦後は、米国の日本人移民や日系人同様、強制収容所に押し込められた。その数は総数二万人以上に上る。彼らは戦後も一九四九年(昭和二四)に至るまで、カナダ市民としての権利を制限されるなど、不当な扱いを受けた。

 

そんな厳しい歴史がありながら、現在の状況に至っているわけですから、そういう歴史を知っておくことは大切だと感じています。

 

ちなみに植民、移民に関心を持ち国際人として活躍した新渡戸稲造は、カナダのバンフで行われた第5回太平洋調査委会議に出席したのち、日本への帰路、ビクトリアでその生涯を閉じています。バンクーバーにも彼の名前を関した日本庭園である「Nitobe Memorial Garden」があるなど、移民国家カナダになじみの深い人物です。

 

今となっては飛行機でサクッと来て、日本人もたくさんいて、現地の人も異国の人間がいることに違和感を覚えることも無い時代です。本書を読みながら、そんな時代を築き上げるまでの長い歴史に思いを馳せているのでした。

 

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