クール・ジャパンは本当にクールなのか
ブログマラソン347日目。
本日もバンクーバーの図書館で見つけた本のレビュー。タイトルは『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』です。
2006年から放送されているNHK BSの『cool japan 発掘! かっこいいニッポン』の司会者である鴻上尚文氏の著作で、番組で出てきた日本に関する様々なことについて紹介しています。
タイトルの最後に「!?」がついているように、「日本ってすごいよね」と自己満足的に発信するものではなく、日本の良いところも紹介しつつ、実際外国人がどう反応するかという具体例を交えた上で、「日本のこんなところがおかしい」と気づかせてくれる内容にもなっています。
外国人から見た日本の視点があるという点で、他の国の特徴と比べながら読み進められる利点があります。
番組もなにかを紹介した後、ナレーションで、「クールでしょ」と断定するのではなく「クールですか?」と問いかける形をなくさないようにしています。
なるべく、客観的に紹介したいと思っているのです。
とありますが、私もその姿勢はすごく重要だと思います。私はしばらくテレビを観ていないので又聞きの情報になるのですが、「日本ってこんなに素晴らしい国だ」みたいな内容を紹介する番組が多いと聞きました。
そういった風潮が実際あるのだとしたら、個人的には違和感を覚えますし、ちょっと気持ち悪くもあります。
観光立国を目指している以上、クール・ジャパンとしてどんどん世界に発信していくのは良いと思うのですが、そこに慢心してはいけないですよね。
本書にも度々紹介されていた部分でもありますが、日本人がこれすごいでしょと世界に見せたいものと、外国人が日本に来てすごいと思うものには違いがあります。しかも、それぞれの国・地域が持っている宗教や文化は異なるので、当然アジア圏から見た日本と欧州圏から見た日本にも差が出てきます。
自国の文化との違いを目の当たりにしたときに「驚き」を発見するわけですし、日本人が当たり前と思っていることにこそ、外国人は魅力を感じたりするんですよね。電車が時刻通りに来るとか、自動販売機がどこにでもあるとか、そういった日本では当たり前のことが、外国人にとっては「クール」だったりします。
日本の優れたコンテンツをクール・ジャパンとして世界に発信するためには、情報を受け取る側である外国人の視点を見逃すわけにはいきません。
また外国人から見た日本を知ることで、当たり前と思っていた常識を疑い、改善に持っていく方向性も出てくるかもしれません。
現在、官民ファンドとして「クール・ジャパン機構」なるものも存在し、海外需要の獲得と日本国内への海外需要の取り組みを推進していっているようです。
こういった事業が成功するためにも、顧客である外国人とのコミュニケーションがより重要になってくるのではないでしょうか。
「今日のTED」
ライナー・ストラック: 2030年 驚きの労働人口クライシス―そして今からどう対策を始めるか | TED Talk | TED.com
今日のTEDはドイツ人の人材専門家であるライナー・ストラック氏による講演です。
テーマは「2030年の労働人口クライシス」。ドイツを具体例に挙げていますが、同じような状況になる国は数多く存在すると、データで示してくれています。
動画にも出てきた通り、2030年の労働人口分布は、予測ではなく既に確定しているものです。既に問題となることが確定している以上、具体的な対応策を今のうちから打ち出す必要があります。
本ブログでも昨日、移民の受け入れに関する記事を上げたのですが、少子高齢化による労働人口の減少は日本やドイツだけでなく、世界の先進国にとって大きな問題となるわけです。
goodman-australia.hatenablog.com
特に高度なスキルを持った人材が極端に不足し、スキルが不要な仕事では逆に供給過剰となるとも予測していますね。
その対応策として考えなくてはいけないこととして、下記の4つを挙げています。
1. How to forecast supply & demand(どのように(労働の)需要と供給を予測するか)
2. How to attract great people(どのように優秀な人材を引き付けるか)
3. How to educate & upskill people(どのように人材を教育し、高度なスキルを身につけてもらうか)
4. How to retain great people(どのように優秀な人材を維持するか)
たしかに誘致するだけでなく、いかに長期でいてもらうかも重要になってきますよね。