破天荒な海外生活ブログ

ニュージーランド、オーストラリア、そしてカナダ。転々と放浪中

数学は何のためにあるのか

ブログマラソン345日目。

 

 また「今日のTED」の感想を書いていたら長くなったので、今日はそれを本題とします。

 

「今日のTED」

エドゥアルド・サエンス・デ・カベソン: 数学は永遠に | TED Talk | TED.com

www.ted.com

 

数学者のエドゥアルド・サエンス・デ・カベソンによる「数学は永遠に」というプレゼンの紹介です。

 

英語ではなくスペイン語での講演です。こんな長時間スペイン語を聞き続けたのは初めてだなぁ(笑)。また英語とは異なるリズムで、脳にちょっとした刺激を与えるにはよいかも?

 

さて本講演での本題は「数学は何のためにあるか」です。これは世界中の学生の頭を悩ます問題なのでしょうね。私たちは小学生から算数を学び、中学生から数学を学びます。好む好まざるに関わらず、誰もが学ばなければならない必須科目となっています。

 

ところが、途中で(あるいは最初から)数学嫌いになり挫折する人は後を絶ちませんよね。特に高校数学の対数関数、三角関数、微分・積分あたりで嫌になる人が多いのかなぁというのが個人的な印象ではあります。自分の人生には必要無いと思ってしまったが最後、文科系に進む人はとっとと数学と縁切りすることになります。そして理科系に進む人は我慢して数学と付き合うことになります(笑)。

 

そもそも数学は難しい上に、「なぜ数学を学ばなくてはいけないのか」という学習目的に欠ける部分は否定できず、物理学や化学など、学習目的が比較的明確な学問とはその点で異なります。もちろん、数学は物理学や化学を学ぶために必要であることも1つの側面ではありますが。

 

多くの人はただ必修だからやっているだけで、ただの四則演算+αで事が済む算数はともかく、目的意識も無く難解な数学を勉強したいとは思わないですよね。理科系に進む人も、最終的に数学科に進みたいと思っている人を除けば、受験のために問題の解き方をひたすら学んでいたという人は多いのではないでしょうか。

 

だからこそ「数学は何のためにあるか」ということを考えるのは大切なことだと思います。学んだ先に何があるかを分かっていないと、中々難解な数学の世界には入り込んではいけないでしょう。

 

本プレゼンの中でも、数学は美しさを持っており、定理が永遠であるとユーモアを交えて説いています。

また、

 

数学は直感をコントロールするもので、創造力をたしなめるものです。

 

とも説いていますね。

 

0.1ミリの厚みをもつ紙を50回折りたたむと、その厚みは地球と太陽の距離と同じくらいになる(紙が十分な大きさを持つと仮定して)、というのを例に出しています。確かに0.1mmの厚みの紙を50回畳んだ程度でそんなとんでもない数字になるということは、直感的には信じがたいことではありますが、実際計算上はそうなるわけです(*参考までに計算結果を最後の補足に載せておきます)。

 

また、無限に広がる2次元の空間を隙間なく埋め尽くすのに、最も効率的な図形が正六角形であるという推論が数学的に証明されたのは、その推論がなされてから1700年も経ったあとのことだったなんて話もありましたね。ミツバチの巣が見事にこの数学的に効率的な構造を再現しているというのも興味深い点です。

 

ミツバチの巣が六角形で作られていることに関しては、こちらの動画も参考まで(日本語字幕がついています)。

ed.ted.com

 

このように数学が具体的な例や物語の中に組み込まれると、うんと距離が縮まる気がしませんか? どのような場面で数学が応用されているのかを現実的な具体例で示されれば、数学の面白さに気づく人もより多くなるのではないかなぁと思います。

 

そんな数学の物語に関する読み物としては、個人的に下記の『フェルマーの最終定理』をお勧めします。

 

goodman-australia.hatenablog.com

 

また昨日記事に書いた「教養」の話にもつながりますが、自分の専門とはかけ離れた分野を学ぶこと自体は非常に有益なことだと思います。私自身、最初は理系の道に進み、20代後半でいわゆる文転を果たした人間ですが、理系の分野で学んだことって今結構役に立ってるんですよ。将来何が役に立つか分からないので、「四の五の言わずに」学習するのもよいことなのかもしれませんね。

 

goodman-australia.hatenablog.com

 

ちなみに、こんなに数学について語っていると私自身数学大好き人間だと思われるかもしませんが、違います(笑)。私も例に漏れず、受験のために勉強してきた1人ですので、数学LOVEでは無いですよ。高校数学の途中から挫折し始めましたし・・・。

 

【補足】

*厚みが0.1ミリの紙を折りたたむときの計算式は

1回折りたたむと 0.1mm x 2 = 0.2mm

2回折りたたむと 0.1mm x 2 x 2 = 0.4mm

・・・

と折りたたむ回数に従って2を掛けていけばよいので、一般化すると

0.1 x 2のn乗 (n:折りたたむ回数)

ですね。50回折りたたむとしたらnに50を代入して、

 

0.1mm x 2の50乗 ≒ 1億1300万km

 

となり、地球と太陽との距離約1億5000万kmに近づきます。51回折りたためば約2億2500万kmになって余裕で超えることになりますね。計算自体はもちろんエクセル先生に頼りました。間違ってたらごめんなさいm(__)m